みなさんおひさしぶり。
長年、でもないけど、せんせいのレッスンを受けてきてポロは、ポロてきに変わったと思います。きっと、みなさんも変わったことでしょう。
ポロたちが変わるのは、せんせいの“レッスンのつぼ”にはまった時に違いありません。
誰もが言われたと思うけど「音楽とは“音として鳴り響く美的内面”」。
これなんて、知ってる人と知らない人(理解した人としてない人)の間には、埋めようのない溝があると思います。今日は、そんなせんせいのレッスンのつぼの、ほんの一部を書いてみます。
みんなも言われたと思うけど、さいきん、せんせいはポロを試すようにこんなことを言いました。
「マザー・テレサは何をした人?」
いつものとおり、これがせんせいのピアノのレッスンです。ピアノを弾かないで終わっちゃうこともあるし・・・。
ポロは、いろいろと考えました。
・・息を吸ったり吐いたりした。絶対当たってるな。でも、せんせいはマザー・テレサならではのことを質問してるんだな。ポロ、会ったことないし・・・・、とりあえず知ってることを答えてみました。
ポロ「えっとね、困った人たちを助けて、それでノーベル賞をもらった!」
せんせい「うん、確かにそのとおりだ。そして、今の答えはマザー・テレサについて語っているようで、実はポロ自身についてより多くを語っている」
ポロ「ぎく! だ、だいたいさ、いきなり聞かれたってポロ、答えられないよ」
せんせい「そうか。では、調べておいで。答えは次回に聞かせてもらうよ」
ポロ「ふふふ。まかせてよ、せんせい」
・・・時は流れて、次のレッスン・・・
ポ「せんせい、マザー・テレサのこと調べてきたよ」
せ「そうか」
ポ「いくよ」
せ「うん」
ポ「マザー・テレサ、本名アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ。現マケドニアのスコピエでアルバニア人の家庭に生まれた。・・・ポロは延々としゃべったけど一部略・・・ マザー・テレサの言葉には日本に関する次のような言葉がある。世界には貧しい国が2つあります。ひとつは物質的に貧しいインドで、もひとつはそのことに無関心な日本です」
せ「ありがとう。よく調べたね。それで、ポロは何が分かったと思う?」
ポ「うん、いろんなこと。ポロ、マザー・テレサのファンになった。でさ、せんせいだったらマザー・テレサのこと聞かれたら何て答えるの?」
せ「そうだね・・・。ポロは病気になったらどうする?」
ポ「病院に行く」
せ「そのとおりだ。そして治療を受ける。しかし、お医者さんにもどうにもならないほどだったらどうだろう」
ポ「やだ・・・。やだよ」
せ「こんなとき医学は突然無力に近くなる。もちろん医師は無力じゃない。医学だけの医師なら無力に近いかも知れないが」
ポ「・・・・・・」
せ「マザー・テレサは、そんな人の手を握って“怖がらなくていいですよ、私がずっとそばにいます”と言って、実際そのとおりにした人だ」
ポ「・・・・!」
ポロは、この日せんせいに撃沈されました。
マザー・テレサがどこの国の人で、いつ生まれたかなんて、せんせいの言ったことに比べればどうでもいいことでした。ポロは、あんまり感動したので、せんせいのことを一発ぶっとばそうかと思いましたが意味がないのでやめました。でも、せんせいは毎日感動した誰かからぶっとばされそうになってるのかも知れません。
思い返せば、せんせいはいつもそうです。
せ「ポロ、歴史ってなんだと思う?」
ポ「えっと、昔のできごとを時代順に並べて人間がどうやって過ごしてきたか知ること・・かな」
せ「そのとおりだね。しかし、こういう考え方はどうだろう」
ポ「どういうの?」
せ「人々の考え方の変化ができごととして現れること。たとえば、王様なんて偉くないじゃないか、と人々が思ったから市民革命が起こった」
ポ「・・・・!」
・・・・・・
せ「ポロ、勉強したら頭はよくなるか?」
ポ「えっと、なるかも知れないし、ならないかも知れない」
せ「“勉強する”ということと“頭がよくなる”ということの意味が一致するかどうかを考えればいい」
ポ「どうやって?」
せ「勉強するというのは“無批判に知識を受け入れること”だ。教科書に書かれていること、習ったことが正しいという前提に立っている。勉強家は本能寺の変が1582年に起こったと教科書に記述されていることをそのまま覚えている。それに対して頭がいいというのは“本当のことが分かること”だ」
ポ「うんうん」
せ「たとえば、勉強ができる人は天動説のテストで100点をとる。ところが頭のいい人は天動説の誤りに気づいて地動説にたどり着くかも知れない」
ポ「どっひゃあ!」
せ「ただし、勉強を否定するものではない。考え方に警鐘を鳴らしているだけだから勘違いしないように」
ポ「どっひゃ〜どっひゃ〜!」(もう、ぜんぜん聞こえてない)
で、せんせいの次の質問はこんなでした。
せ「練習したらピアノは上手になるか?」
じゃあまた。
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