2007年11月12日

mixi日記 2007-11-12  発想と実現

 少し前にカミさんが言った。

 「クリエイターは体力よ」

 そして続けた。

 「なにかすごい発想が生まれても、それを実現するために徹夜する体力がなくて休み休みやってたらアイディアなんて消えてなくなっちゃうわよ」

 リービッヒの最小律だ、と思った。植物はその環境から得られる最も少ない栄養素に合わせて生長するという法則である。オーディオも同様。CDのような入力装置、アンプのような増幅装置、スピーカーなどの音声出力装置のうちの最も低い性能に合わせて鳴り響く。ピアノもそうだ。製作者の意図と技術と感性、整調・整音・調律・それ以外の全ての調整を行なうピアノ技術者の保守技術と感性、そして演奏者の技術と音楽性、そしてなによりピアノヘの理解。それらのうち、もっとも低い水準に合わせて鳴り響く。
 では作曲家はどうか。発想、技術、体力というところか。どれも全部自信がないが、最近、とくに体力に自信がない。最小律の制限要素をかさ上げすべく、今日の午前中も歩いてきた。
 今年開校したS市の小学校正門を通りかかった時、学校の屋上かどこかに設置された太陽光発電設備の発電状況を知ることのできる表示版が見えた。その時に表示されていた発電量14kw/h。帰宅後に自宅のインバータの表示を見ると2.7kw/h。単純に考えれば、その小学校の太陽光発電パネルの定格出力は20〜24kw/hくらいのものだろう。私の住むW市内の県立高校には30kw/hの設備があり、近所にも数軒の住宅が太陽光発電設備を持っている。しかし、まだまだ普及しているとは言い難い。
 もし太陽光発電パネルが一般住宅の屋根材と同じ形状で、屋根材との価格差も少なくなったらどうだろう。見栄えも価格もあまり変わらず電気代が劇的に安くなる(どころか、余剰電力は売電して収入となる)としたら、ほとんどの新築住宅で採用されるのではないだろうか(ほかに、発電された直流電流を交流に変換するインバータ代が必要)。2005年の総務省の統計によると一戸建ての専用住宅総数は2507万0100戸である。これらの屋根材型太陽電池が一軒当たり平均3.5kw/hの定格出力で、実質的な発電量が月間300kw/hとした場合、年間発電量は75億2100万kwとなる。集合住宅やオフィスビルの屋上は、発電するよりも屋上緑化のほうが重要かも知れないので、そういうところではすでに実用化されている窓用の透明な太陽電池を使うことにする。実際には太陽光発電は日照のある時間帯しか発電しないために安定した電源インフラストラクチャーとは言えず、大型発電所をすぐになくせるわけではないが、二酸化炭素の排出量削減には大きく寄与することだろう。なにより太陽光発電の最も大きな効果は各家庭が節電に励むことである。アルバイトを始めた子どもが無駄遣いをしなくなるのにも似ている。 これらが事実誤認のない正しい発想であれば、その一部でも実現する可能性があり、事実との間に齟齬があれば、ただの馬鹿な想像ということになる。たとえ実現するにせよ、これも体力を使いそうではある。やはり発想を実現する鍵は体力なのかも知れない。


 野村茎一作曲工房
posted by tomlin at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | mixi-日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。